高圧スイッチング電源・再び

むかし拙ブログで高圧スイッチング電源のコラムもどきを書いたことがある。

+Bとヒーター用にスイッチング電源を用いれば筐体の小さい真空管アンプができるのになあ、という記事である。

じつは数ヶ月前に、とあるショップからB電源用のスイッチング電源を作ったので実際のアンプに使って評価して欲しい、という依頼があったのだ。

今回そのモジュールを入手したので、早速評価をスタートした。評価の内容は出力電圧と出力電流、効率、ノイズ等である。

評価にあたり電流を変化できる負荷が必要だったので、真空管と定電流回路を組み合わせたものをバラックで組んだ。


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NJM317で定電流回路を作り、三結にしたEL34のカソードに入れ、自己バイアスで動作させている。電流を絞ってEL34のバイアス電圧が40Vを超えるとNJM317が壊れてしまう。また電流を流しすぎるとEL34のPp max=30Wを超える可能性があるので制限抵抗を設けている。

R3がNJM317の破壊防止用抵抗、R4とR5が電流制限抵抗となっている。初めはVR1だけだったが電流の調整がクリティカルなのでVR2を入れ、VR1固定で11.5mA~87mAまで変化できるようにした。

モジュールの入力電圧が24Vなので、コーセルのスイッチング電源でDC24V1.3Aを供給する。FUSE2はモジュールの破壊防止用である。R1でモジュールの入力電流を測定する。また、R5で出力電流を測定している。


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これが評価に用いたバラック。右下に見えるのが評価モジュール。


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モジュールを拡大したところ。サイズはW62mm×D43mm×H40mm。回路や使用半導体は非公開にして欲しいということなので内緒。


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これは出力電圧を振って電流を測定したもの。最大出力電流は300Vで30mA、250Vで50mA、200Vで70mA、最低電圧が186Vで75mAといった感じである。

出力電圧に含まれるノイズは50mV未満といったところ。取り出す電流が少なければノイズは減少し、11.5mAでは7mVくらいである。


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これは出力電流を30mAに固定して各電圧毎に効率を測定したもの。おおむね60%から70%に収まっている。この効率は、低ければそれだけ発熱することになる。


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出力を214V・50mAにした時のオシロ波形。ノイズは0.9Vp-pで30mVrms。周波数は約168KHz。この周波数は取り出す電圧や電流によって変化し、取り出す電流が少なければ周波数も下がる。最高スイッチング周波数は210KHzくらい?である。


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モジュールの入力側にもノイズが出ている。ノイズは0.6Vp-pで周波数は168KHz。このスイッチング電源を単体で用いる場合は問題ないが、ACアダプターから別の電源を取る時にはノイズ対策が必要になるだろう。ヒーター電源に用いる場合は問題とならないと思うが…。

スイッチング周波数が高いので一般的な真空管アンプに用いた場合、出力トランスの周波数特性がすでに落ちていて問題になることは無いだろうと思われる。但しプリアンプ等、小電流で使用した場合、スイッチング周波数によって残留ノイズが増える可能性がある。

アンプに用いる電流が足らなければ、片チャンネルに1個ずつ用いることもできる。ちまたで流行っているミニワッターなんかは1個だけで守備範囲じゃないかなあ。

このモジュールの入力電圧は24Vで最低15Vは必要ということだから、ACアダプターを用いた場合ヒーター電源に工夫が必要だ。降圧DC-DCコンバータを用いる方法もある。あるいは6.3V管を4本直列にすれば良いが、電流を全て同じ管で揃える必要がある。

このモジュールを用いて簡単な真空管アンプを作ってみようと考えている。

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