71Aパラシングルアンプ・完成

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71Aパラシングルアンプが10年の年月を経てようやく完成レベルにまで至った。まだ気になるところがあるので直したいのだが、何か案を思いついた時に試そうと思っている。

このアンプの製作を考えたのは2008年のこと。当初は初段に6SF5GTを使い、71Aを直結にしたロフチン・ホワイトアンプを模したものだった。71AはVp maxが180Vと低いので、初段と直結にしたほうが+B電圧には都合が良い。

その後71Aをパラレルにすることで低域の周波数特性を改善しようと考えた。ただ高rpの6SF5GTで2本の71Aをドライブするのは高域特性の低下を招く。

那須好男氏の必ずつくれる真空管アンプ製作集Part2には12AU7のカソードフォロア直結ドライブによる71Aパラシングルアンプの製作例が載っている。これなら良さそうと考えて橋本トランスのPT-100とHC-203Uを奮発して買ってしまったのだった。

それから10年。71Aパラシングルアンプを真空管アンプ製作の最後にしようとトランス類を死蔵していたのだが、気力や体力、技術が充実しているうちに使ってしまおうと考えを改めた。

回路は直熱管のカソードチョークドライブが好結果を得ていたので71Aパラシングルアンプもそれに倣った。カソードフォロアはドライブ段のgmが高いほうが低インピーダンスとなるので6922を採用した。

カソードチョークドライブは出力段が直熱管ですぐ動作するので、ドライブ段がまだヒートアップする前はグリッドにチョークがつながった高インピーダンス状態となりノイズを拾ってしまう。ドライブ段がヒートアップすると低インピーダンスとなりノイズが消える。これを避けるのと高い+B電圧を下げるため傍熱整流管を使った。5Y3WGTBは降圧が50V程度あるので好都合だ。


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回路図を上記に示す。カソードチョークには当初4B-20MA(30H20mA)を使ったが超低域でドライブに問題のあることがわかりPMC-80H(80H8mA)に変更した。また71Aのカソードから+Bにコンデンサで接続する信号ショートループとしていたが、試聴の結果通常のカソードバイパスコンデンサに変更した。


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諸特性を上記に示す。利得は約7倍と私が製作するアンプの中では低い。でもこの程度ならボリュームを上げれば問題ない。


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周波数特性。高域が伸びており-3dB点は82kHz。6922のカソードチョークドライブのためと思われる。A2級でドライブしているが出力はそんなに増えない。


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クロストーク特性。20Hz~20kHzでは-58dB以下であまり良くない。聴いてわかるかといったら駄耳の私にはわからないので問題ないといえる。


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Lchの歪率特性。1kHzでの歪率5%における出力は2.5W。1kHzの歪率カーブが他の周波数より低めなのは歪みの打ち消しが起きているためと思われる。


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Rchの歪率特性。1kHzでの歪率5%における出力は2.4W。Lchとほぼ同様だった。


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学生時代に組んだ2A3プッシュプルアンプ。三栄無線には鈴蘭堂の穴加工済みシャーシが売られておりFA-1000という型番だった。


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71Aパラシングルアンプは今までのアンプ製作の集大成(のつもり)なので、2A3プッシュプルアンプになぞらえてSRDSL型メタルケースにした。SRDSL-8HGはW350mm×D224.5mm×H58.2mmでシャンパンゴールドのヘアライン・アルマイト染色がしてある。


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当初はトランスより71Aの背を低くしようと考えたのだが、71Aの袴を掴めないと抜き差しが大変になるのですこし高い位置にとどめた。


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トランスを買う時ケンオーディオの店長さんに「71Aにはずいぶん豪勢だな」と言われたのを覚えている。確かに出力2Wに20WのOPTは大きすぎる。アンプの重量を測ってみたら10.3kgだった。結構重い。


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71Aのフィラメントは5V0.25A。ほのかにフィラメントが赤熱しているのが見える。


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JJのECC83Sのプリントが逆を向いてしまった。メーカーごとにプリントの向きが違うから仕方ない。


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SP端子のバナナ専用ジャックは経年変化で錆びにくいと思われる金メッキのにした。


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シャーシ内部。カソードチョークのPMC-80H(80H8mA)が目立つ。


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フィラメント電源にリプルフィルタ用のCRを71Aのソケット横に追加した。銀色のコンデンサは東信のUTSJで、71Aのカソードバイパスコンデンサに使っている。

試聴結果はカソードバイパスコンデンサのUTSJが支配的なのかハイファイ調で透明感が高い。総じて71Aの清楚な音色がしているようだ。

私より耳の良い!?妻による試聴結果。
・豪華だね 真空管が好きな人はいいんじゃない?
・見た目が格好いい
・高級感があるよね
・配色が良いし真空管がたくさんあるから見て楽しめる
・広がりのあるサウンドで良かった
・オーケストラを聴いた時にスケールの大きさがあって良いと思った

このアンプは利得が7倍と拙宅の他の真空管アンプより低く、当初よりNFBをかけないで裸特性を良くするという方針で製作した。だから無帰還アンプを目的としたわけではない。無帰還アンプだから音が良いという一般的な考え方とは違うことを強調しておく。

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この記事へのコメント

kurod@
2018年11月07日 20:11
おんにょさんこんばんは

71Aアンプはいつも行く八代のラジオクロネコさんでトランス結合のシングルアンプを聴いたことがあります
スッキリとした音とイメージのアンプでした。作家の村上春樹氏がこのアンプの音を気に入ったとか

そう言えばおんにょ師匠のアンプにはトランス結合のアンプは見ませんよね
kurod@
2018年11月07日 20:13
最初に言わねばならないのに失礼致しました‼

10年の歳月を掛けての71Aアンプの完成おめでとうございます
おんにょ
2018年11月07日 20:56
kurod@さんこんばんは。
どうもありがとうございます。71Aは使いやすい良い真空管であるわけなんですが、特性を追求すると選別しなければならずもったいないです。私はトランスを重ねるより入手できた真空管を使ってアレコレするほうが楽しいのです。

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