もしプッシュプルアンプのDCバランスが狂っていたら

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プッシュプルアンプのペア管はDCバランスを取って電流を揃えるわけだけど、もし狂っていたら特性的にどうなるのか見たことがない。そこで手持ちのプッシュプルアンプではどうなるのか確かめてみることにした。

ごく普通のDEPPアンプがあれば良いのだが、あいにく手持ちにはそういうのが無い。しいて挙げるなら5670Wパラプッシュプルアンプだけどあれはパラだからねー。

というわけで、差動アンプ(もどき)の拙6SN7全段差動アンプで実験してみよう。


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回路図を上記に示す。片チャンネルの6SN7には合計26mA流れている。DCバランスが取れていれば1ユニット当たり13mAだが、それが狂って5mAの差が生じていたとする。


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DCバランスが狂ってもトータルの電流が26mAになるとは限らないけど、5mAの差が生じるためには6SN7の3ピンと6ピン間に0.0165V(16.5mV)の電圧が生じればよいことがわかる。

OPTのKA-14-54Pにおける許容アンバランス電流は規定されていないが、オシロで100Hzの方形波観測をすると、DCバランサを回すと波形がかなり変化するのでアンバランスに弱いと推測される。

さて、実験に入ろう。LchのDCバランサを回して3ピンと6ピン間の電圧が16.5mVとなるように調節した。それぞれの3.3Ωの電圧は35.0mV、51.6mVとなった。電流は10.6mA、15.6mA。差し引き5mAとなる。

Lchの残留ノイズは0.07mVから0.12mVに増えた。これはDCバランスのずれにより+Bのリプル電圧が現れたと考えられる。


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周波数特性の比較。DCバランスずれで、低域にレベル低下が生じているのがわかる。


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歪率特性。全ての周波数に歪率の悪化が生じている。特に100Hzの悪化が激しい。


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DCバランスを再調整した後の歪率特性。違いは明らか。


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gifアニメにしてみた。

今回は主に周波数特性と歪率特性について調べたわけだが、歪率特性には顕著な違いが見られた。OPTのアンバランス電流によりインダクタンスが低下していると思われるが、他の要因もあるのかもしれない(例えば6SN7のIpが違うことによるgmの差など)。

DCバランスのずれが実際に聴いてわかるかというと、たぶん無理じゃないかと思う。片チャンネルだけ低域がわずかにレベル低下しているといって、例えば定位のずれとして検知できるかというと困難だと思うし、歪率の悪化が人間にわかるのは2%以上とされているようなので難しいだろう。

DCバランスのずれた状態と合った状態で比較試聴したら何かわかるかもしれない。でも実際にはプッシュプルアンプのコンディションの差が検知できるかといったら難しいのではないか。

ミニワッター全段差動アンプで聴いている方は、どのくらいアンバランス電流が生じているのか確認されてはいかが?

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この記事へのコメント

klmnji
2015年09月25日 22:29
以前、たまたまDCバランスを調整せずに特性を測ったことがあるんですが、50Hzあたりの最大出力の低下が顕著でした。
すぐにクリップしてしまいました。
0.5Wで周波数特性を測ると、もっと分かりやすいかも知れません。
その時のトランスはKA-8-54Pでした。

測定していて、おっかしいなーと思いました。
おんにょ
2015年09月25日 22:50
klmnjiさんこんばんは。
拙ブログの記事、最大出力の周波数特性http://65124258.at.webry.info/201504/article_1.htmlで3A5トリプルプッシュプルアンプにおける最大出力の周波数特性図があります。50Hzで0.5Wというとかなりギリギリのところでして、DCバランスが崩れるとすぐに影響するはずです。オシロがあれば、低周波の方形波を観測しながらDCバランスを調整すると変わるのがよくわかります。

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