スピーカーの周波数特性を測定する
メインで使用しているPC、Lenovo ThinkPad E440にスピーカーの周波数特性を測定するための環境設定を行い、WaveGene・WaveSpectra及びMySpeakerでSpendor S5eの周波数特性を測定してみた。
測定環境を上の図に示す。マイクアンプは利得100倍で20Hz(-0.2dB)~20KHz(-0.3dB)となっている。
★必要な機材
・被測定スピーカー
・アンプ(ダンピングファクタがある程度あって出力が1W以上)
・PC(ex.Windows7)
・マイク+マイクアンプ(自作)
・マイクアンプ用電池(006P)
・USBオーディオプロセッサ(録音用) ※
・USB DAC(再生用)
・三脚
・ケーブル類
RCA延長ケーブル、USBケーブル(Aオス・Bオス、Aオス・miniBオス)、RCAケーブル
・メジャー
※ 1台のUSBオーディオプロセッサ(同時録再可能)を使う場合は録音側にボリュームボックスが必要となる場合がある。
★PC用ソフトの設定
[PC本体]
PCにUSB DAC、USBオーディオプロセッサを接続する。
スタート→コントロールパネル→ハードウェアとサウンド→サウンドで
・再生タブ
USB Audio DACを規定値に設定
プロパティでレベルを100に
すべての音の明瞭化設定を無効にするにチェック
詳細で16ビット、48KHz(DVDの音質)
・録音タブ
ラインにUSBオーディオプロセッサを規定値に設定
プロパティでレベルを100に
詳細で2チャネル、16ビット、44100Hz(CDの音質)
[WaveGene]
右上のボタン、再生デバイスでデバイス:USB Audio DAC
秒数を180秒に(低域の落ち込みを気にしなければ20秒程度で良い)
48000Hz、16bit、Stereo
・Wave1
サイン波、20Hz、-10dB、0%、帯域制限なし、0Sa、0°、
スイープにチェック、スイープ上で右クリックして周波数 リニア、変化量 スムーズ
L+R(測定するチャンネル)
・Wave2
サイン波、20000Hz、-10dB、0%、OFF
[WaveSpectra]
測定チャンネル LまたはR
右上のスパナマークで
・Spectrum
縦軸 dB、レンジ 120dB
・FFT
65536、Blackman-Harris
・再生/録音
再生にUSB Audio DAC
録音にUSBオーディオプロセッサ
44100s/s、24bit、Stereo
★マイク・マイクアンプのセッティング
三脚を使ってスピーカーのウーハーとトゥイーターの間で軸上50cmの所にマイクをセットした。
★WaveGene・WaveSpectraでの測定
WaveSpectra:左下のMainをオフ、Peakをオン
WaveSpectraの録音ボタンを押す
WaveGeneの再生ボタンを押す
WaveGeneの再生が終わったらWaveSpectraの録音をストップ
★ループバックでの周波数特性の確認
USB Audio DACの出力をUSBオーディオプロセッサの入力に直接つなぎ、レベルが平坦であることを確認する。
WaveSpectraでの周波数特性
DACとオーディオプロセッサのボリュームは共に12時で測定。超低域ですこしレベルの落ち込みが見られるが、問題ないレベルと判断。
MySpeakerでの周波数特性
サインスイープ:F特測定
15KHz以上でレベルが落ち込んでいる。私には15KHz以上(というか、12KHzあたりから)は聞こえないからまあいいんじゃないかな。
★測定結果
WaveGene・WaveSpectraによる周波数特性の測定結果。25Hzくらいのピークは暗騒音を拾っているので無視してね。
MySpeakerによる周波数特性の測定結果。
ついでにピンクノイズでの測定結果。サインスイープと同じような特性が得られた。25Hzくらいのピークは暗騒音を拾っているので無視してね。
MySpeakerには高調波歪みの測定ができるので、試しにやってみた。
メーカー発表のS5eの周波数特性は無いようなので、Stereophile.comより転載
PCを用いた周波数特性の測定は、とにかく設定個所が多くて面倒くさい。測定環境を整えれば短時間で測定ができるようになるだろう。Stereophile.comでの特性とかなり似た周波数特性が得られているので、ある程度信頼できると思う。
メーカー発表の、スピーカーの軸上1mでの周波数特性で何dBとかは、部屋が狭いので無理。自宅の場合は暗騒音で約50Hz以下のレベルが高くなることがあり、これは致し方ない。中高域でレベルがギザギザになるのは部屋の反射などが影響しているものと思う。
MySpeakerのほうは設定といってもレンジとシフトくらいなのでWaveGene・WaveSpectraに比べて非常にラク。シフトをNorm.にしておけばピークは0dBとなるみたい。レベルが大きすぎたり小さすぎたりすると警告が出る。出力は両チャンネル同時で、入力は左チャンネルがデフォルトのようだ。
★Appendix
PC Lenovo ThinkPad E440
OS:Windows 7 Home Premium SP1 64bit
Memory:4GB、SSD:256GB
アンプ:17JZ8 CSPPアンプ
ダンピングファクタ:9.5、出力:10W+10W
USB Audio DAC
トランス式USB Audio DAC
★参考にさせて頂いたWeb
自作スピーカーの測定
http://www010.upp.so-net.ne.jp/takaoh/loudspeaker/measure/measure1.html
自作スピーカー測定プログラム MySpeaker
http://www.asahi-net.or.jp/~ab6s-med/NORTH/SP/myspeaker/
Welcome to efu's page (WaveGene・WaveSpectra)
http://efu.jp.net/index.html
Spendor S5e loudspeaker Measurements | Stereophile.com
http://www.stereophile.com/content/spendor-s5e-loudspeaker-measurements
この記事へのコメント
それでもパナマイクあたりで一度測定してみるととっても勉強になると思います。
高域のキザギザは原理的なものなのでスムージングなどを掛ければよいと思います。レンジは最低でもできれば5dB/DIVぐらいにした方が実際上意味があるかと。
基本的に7~8kHz以上はマイク校正が必要なのでデータは5dBくらいまでは誤差があると思ってください。WM61Aと比べてWM-64PKTはいかがでしたか。
WM-61Aは購入しておりませんので試していません。感度補正は基準となるマイクが必要で、ちゃんとした測定環境を整える必要がありますので難しいです。今度オフ会でOmniMicと比較してどうなのか確かめようと思っています。それなりに測定できれば良いので精度は追求しません。レンジを120dBにしているのはWaveSpectraで暗騒音を確認するためで、MySpeakerも合わせています。なのでレンジを60dBにしても問題ないと思います。
測定結果が聴感に近づくと、ますます良い方向に向かいますね。
その為にも一寸した思いつきで、容易に再現性のある測定環境を整備する必要性を感じています。
アンプについても同じような気がします。
スピーカーの周波数特性を測定するまではいいのですが、それを活用して云々、という事例はあまり見かけないようです。バスレフポートのチューニングや、将来2ウェイを組む機会があったらクロスオーバー周波数でどうなっているかを確認、とかで使ってみたいと思っています。